Woolf Table(ウルフ・テーブル)
2015年春より活動を開始したプロジェクト。
渡邊聖子(写真家)、小塩淳仁(写真家)とともに行う。
ヴァージニア・ウルフ(Virginia Woolf, 1882-1941)の著作を手掛かりとし、複数のアーティストや参加者が様々な実践を行う。それは文学についての芸術実践の集合ではなく、彼女の作品を参照することにより、一見つながりなく思える個々の実践を「日常生活についての再考の実践」として結びつけて、提案する。
オープンスタジオ: 6月19日[金]~ 28日[日] 11:00-19:00 (入場無料)
オープニングレセプション : 6月19日[金](一般参加費500円)
会場:BankART Studio NYK * ウルフ・テーブルは2F-17
詳細情報(PDF)
http://bankart1929.com/cms/wp-content/uploads/2015/06/air2015openstudio2.pdf
藤村 豪(Woolf Table として)
ヴァージニア・ウルフの小説『ダロウェイ夫人』の7 冊の異なる日本語訳を用いた実践を行います。
多くの日本語訳が存在するヴァージニア・ウルフの小説『ダロウェイ夫人(Mrs. Dalloway)』を複数人で朗読するパフォーマンスです。
それぞれが異なる日本語訳を開き、1 センテンスずつ交代で読み続けます。それぞれの朗読者は異なるテキストからの朗読を聞きながら、自身の使用する本に書かれたテキストを追いかけ、見えているテキストと聞こえてくる テキストの齟齬を朗読者自身が経験しながら物語が進んでいきます。対照的に会場の人々は複数の日本語訳の朗読から構成される『ダロウェイ夫人』をある一つの物語として自然に受け止めることになります。
ひとつの小説に存在する多くの翻訳を用いるこのパフォーマンスは、翻訳の問題というよりも、日常の中で私たちが物事を理解しようとするときに起こる典型を示していると考えるべきです。
ひとつの出来事はそれぞれの形で記憶され、理解される(Mrs. Dallowayから7 つの『ダロウェイ夫人』へ)。それぞれの理解は、また別の誰かの理解によって姿をかえていく(聞こえてくる『ダロウェイ夫人』)。
それはヴァージニア・ウルフが自身の小説で取り組んだことにも重なります。『ダロウェイ夫人』を異なる本で複数の人々が一緒に読み進めることは、 ウルフ自身が用いた方法でウルフの作品を理解することにもなるのかもしれません。